私は中年です。
健康寿命はあと20年弱といったところでしょうか。
すでに若い頃の無理が祟って、一部の臓器がイカれております。
わが人生は秋。
老いていくのみ。
ああ、死のあぎとが見えるようだ。
子無き女ですから、社会の邪魔にならぬよう慎ましく果てるのがよろしかろう。
そう思って日々の歯車を回しておりました。
でも、「白鳥とコウモリ」や「鬼太郎誕生」といった素晴らしい物語に出会うと心が若やいで、誰かを、何かを愛したくなります。
──微温の愛が望ましいでしょう。
強すぎる愛は執着へと変わってしまうから。
今日は愛すべき対象を見つけました。
可憐な花を咲かせる姿にぴったりな名前を心に刻みました。
花鳥風月を愛する時、人間から自然へと近づけるような気がするのです。
我を貫く季節はもう過ぎました。
微温の愛を抱いて日々を慈しみ、来たるべき時を待つとします。